コラム
飲食店の売上平均とは?計算方法や売上アップのポイントも解説

飲食店経営は、売上平均を把握することが重要です。売上変動の予測が、適切な経営判断につながるためです。基本的な計算方法を知ることで、売上アップ施策を考えるための基礎を築けます。
この記事では、飲食店の売上平均の算出方法や売上管理で理解しておくべきポイントを解説します。売上を増やすための具体的な施策にも触れているので、飲食店経営者の方は参考にしてください。
飲食店の売上平均は?1日・1ヶ月・1年を算出
一般的な飲食店の売上平均の相場を、1ヶ月あたり25日間営業したと想定して、以下にまとめました。
経営規模 | 1日 | 1ヶ月 | 1年 |
個人経営 | 3万~8万 | 80万~200万 | 1,000万~2,000万 |
企業経営(中小規模) | 12万~20万 | 300万~500万 | 3,600万~6,000万 |
これらの数値は、店舗の位置や提供するサービスの種類によって変動します。
総務省統計局の調査によると、令和6年10月~12月は飲食店全体の月間売上高が1.8兆円を超えており、高い水準を記録しました。一方、令和7年1月~3月は1.4兆円で、令和5年以降キープできていた1.7兆円から落ち込んでいます。
コロナ禍以降、回復の兆しがあったものの、飲食店全体で売上増の施策を要することが分かります。
参考:総務省統計局|サービス産業動向調査 2013年1月から 月次調査
店舗の規模や業務形態によって異なる
飲食店の売上は、規模や業務形態によって大きく異なります。たとえば、都心部の高級レストランや居酒屋では、月間売上が1,000万円を超えることも珍しくありません。
一方、持ち帰り専門店やカフェなどの小規模店舗では、売上は控えめであることが一般的です。総務省統計局のデータによると、「持ち帰り・配達飲食サービス業」の令和7年1月~3月の月間総売上は2,200億円です。1兆円超えを記録している通常の飲食店と比べると、売上規模が小さいことが分かります。
また、宅配やテイクアウトを主体とする店舗は、通常の飲食店の売上の一部を占めることが多いです。経営者は、自店の業態に応じた売上目標を設定し、効率的な運営を目指しましょう。
飲食店の売上管理で理解しておくべき言葉
飲食店の売上管理において、理解しておくべき言葉を以下にまとめました。
言葉 | 意味 |
売上原価 | 商品やサービス提供に必要な食材費や仕入費用 |
販売管理費 | 家賃や光熱費など、店舗運営に関わる経費全般 |
回転率 | 店舗の収容人数を1回転とし、1日の来客数を基にした回転数 |
客単価 | 1名あたりの平均的な売上額 |
固定費 | 売上に関わらず毎月発生する家賃や電気代 |
変動費 | 売上に応じて変化する販売手数料や消耗品費 |
減価償却費 | 資産の使用に伴う価値減少を費用として計上する額 |
接待交際費 | 取引先との関係維持のために使う費用 |
続いて、よく使われる計算式を以下にまとめました。
言葉 | 意味 | 計算式 |
売上高 | 店舗が商品やサービスを提供して得た収入の総額 | 客単価×人数 |
営業利益 | 売上高から売上原価と販売管理費を差し引いた利益 | 売上高-売上原価-販売管理費 |
利益率 | 売上高に対する利益の割合 | 営業利益/売上高×100% |
損益分岐点 | 売上と費用が同額になり、利益が出始めるポイント | 固定費/(1-(変動費/売上高)) |
FLコスト | 食材費(F)と人件費(L)の合計額 | 食材費+人件費 |
FL比率 | 売上高に対してFLが占める比率 | (食材費+人件費)/売上高×100% |
これらの用語を理解し、経営判断に役立てましょう。
飲食店の売上平均の算出方法
飲食店の売上平均を算出する際には、いくつかの指標を活用すると効果的です。計算する方法を以下3つ紹介します。
- 家賃
- FL比率
- 売上予測
これらから、自店の売上平均を算出してみましょう。
家賃
飲食店の家賃は、売上平均の目安を算出する際の重要な要素です。一般的に、家賃比率は売上の10%以内に抑えることが望ましいとされています。たとえば、月の家賃が25万円の場合、「25万円/10%=250万円」で、月間の売上目標は250万円です。
また、1日の売上を求めるには、月間売上を営業日数で割ります。25日営業するなら「250万円/25日=10万円」が1日あたりの目標売上です。この計算方法は、賃貸物件で経営する際にとくに役立ちます。
FL比率
FL比率は、食材費(=Food)と人件費(=Labor)の合計を売上に対する割合として示す指標です。この比率を活用することで、適正な売上平均の計算が可能です。たとえば、以下の計算式で月間売上の目安が求められます。
計算式 | 月間売上の目安=FLコスト/適正FL比率 |
FLコスト | 120万円 |
適正FL比率 | 55% |
月間売上の目安 | 120万円/(50%/100)=約218万円 |
業態や規模によって適正比率は変動しますが、一般的に55%以内が目安です。この指標は、開業後の売上管理や経営戦略に役立つでしょう。
売上予測
売上予測は、客単価・座席数・回転数を基に算出されます。たとえば客単価が1,200円、座席数が25、回転数が8の場合「1,200円×25席×8回転=24万円」で、24万円が1日の売上予測です。
この計算式から、開業前でも売上目標の設定が可能です。メニューやターゲット層を考慮した具体的な数値設定により、売上アップに向けた戦略を練れるでしょう。
飲食店の売上管理で重要なポイント
飲食店経営には売上だけでなく、利益管理も欠かせません。売上管理を適切に行うためには、以下の指標の理解が重要です。
- 損益分岐点から黒字・赤字を判断する
- 費用には固定費・変動費がある
- 営業利益率から利益を把握する
店舗経営をより安定させるための基礎を押さえましょう。
損益分岐点から黒字・赤字を判断する
損益分岐点は、売上が費用と等しくなり、利益も損失も発生しない状態を指します。このポイントを超えると黒字になり、下回ると赤字になるため、経営の安定性を図る重要な指標です。
損益分岐点は「固定費/(1-(変動費/売上高))」の計算式で求められます。固定費には家賃や社員の人件費が含まれ、変動費には食材費やアルバイトの人件費が該当します。この指標の理解により、店舗の収益性を向上させるための戦略を立てられるでしょう。
費用には固定費・変動費がある
飲食店の費用は大きく固定費と変動費に分けられます。固定費は毎月一定額が必要になる費用で、変動費は月によって必要となる金額が変わる費用です。以下に例をまとめました。
費用の種類 | 内訳 | 説明 |
固定費 | 家賃 | 月々の賃貸料 |
人件費(正社員) | 給与や福利厚生費など | |
リース料 | 設備や機器のリースにかかる費用 | |
支払利息 | 借入金に対する利息 | |
変動費 | 食材原価 | メニューによって変わる食材の仕入れ費用 |
人件費(アルバイト) | アルバイトの給与(勤務時間によって変動) | |
水道光熱費 | 水道、電気、ガス | |
広告宣伝費 | 季節ごとやキャンペーンの広告 | |
消耗品費 | ペーパータオルや洗剤など |
これらの費用を把握し、適切に管理することでスムーズに経営できます。とくに変動費の見直しは、経費削減や利益率の改善に直結するため、定期的な見直しが大切です。
営業利益率から利益を把握する
営業利益率は、売上に対する営業利益の割合を示す指標で、店舗の収益性を判断するために用いられます。計算式は「営業利益/売上高×100%」です。
営業利益率が高いほど、効率よく利益を生み出しているといえます。さまざまな調査機関から業種別の営業利益率が算出されており、業種によって目安となる数値は異なります。
自店と同じ業種の数値に常にアンテナを貼り、目安を把握しましょう。
飲食店で売上アップする8つの施策
飲食店の売上アップを図るには、さまざまな角度からのアプローチが必要です。おすすめの施策を以下8つ紹介します。
- モバイルオーダーを活用する
- 集客に力を入れる
- 席の回転率を上げる
- 経費を削って利益率を上げる
- 固定費を抑える
- 食材ロスを低減する
- 顧客単価を上げる
- スタッフの配置を見直す
それぞれ取り組みを検討しましょう。
モバイルオーダーを活用する
モバイルオーダーは、注文プロセスを効率化するための有力なツールです。顧客がスマホを使って注文できるため、店舗スタッフの業務負担が軽減されます。
テーブルに設置されたQRコードをスマホで読み取ることで、メニュー表示から注文まで完結します。これにより、注文ミスが減り顧客満足度も向上するでしょう。注文履歴を活用してパーソナライズされたプロモーションを提供することも可能です。
なお、モバイルオーダーには、顧客管理や集客など多角的な施策を実現する「Qder」がおすすめです。「Qder」を導入するだけで、さまざまな売上アップ施策を試せます。
集客に力を入れる
新規顧客やリピーターを増やすには、さまざまな場所やタイミングのアプローチが重要です。以下にアプローチ方法をまとめました。
アプローチ要素 | 方法 |
場所 |
|
SNS |
|
タイミング |
|
上記以外にも、顧客にポイントカードを配布し、リピーター増を狙うのも効果的です。
席の回転率を上げる
席の回転率が上がると、売上も増加します。提供までの時間を短縮するために、調理工程を見直し、計画的な仕込みが大切です。
たとえば、集中しがちなランチタイムにはセットメニューの導入により、調理から注文、提供までスムーズになります。また、オンライン予約システムを導入すると、予約の取りこぼしを防げます。これにより、顧客の待ち時間が減り、席の回転率が上がるでしょう。
経費を削って利益率を上げる
飲食店の利益率を向上させるためには、経費の削減が欠かせません。まずは現状を把握することから始めましょう。以下のとおり、項目ごとに支出を確認してください。
内訳 | 詳細 |
食材費 | 複数業者から見積もりを取り、もっともコストパフォーマンスのよい業者を選択する |
広告費 | 効果の薄いキャンペーンや媒体を削減する |
消耗品 | 使用量を管理し、無駄を省く |
これらの見直しにより、売上が変わらなくても利益を増加させられます。
固定費を抑える
固定費の削減は、経営を安定させるために重要です。契約更新時に家賃交渉したり、電力会社を見直したりすることで、光熱費を抑えられます。
また、オフピークタイムは営業時間の調整や、店舗の半分だけ開放するなどの運営効率化により経費の削減が可能です。設備のリース契約を見直し、より有利な条件を探すのもおすすめです。
食材ロスを低減する
食材ロスを減らせると原価率が下がるため、売上アップにつながります。仕入れ量の適切な調整と食材保存方法の見直しにより、ロスを防ぎましょう。
たとえば、売れ筋メニューに合わせて仕入れ量を調整します。また、冷蔵庫の整理を徹底し、食材の使用期限を管理することで、廃棄を減らすのも有効です。これにより、食材費を抑え、FL比率を改善できます。
顧客単価を上げる
顧客単価を上げるためには、メニューの工夫が欠かせません。セット商品やコースメニューの充実により、単価アップが可能です。たとえば、サラダやドリンクなどのセットメニューは、単価を無理なく上げやすいです。
また、食後のデザートや副菜追加などのオプションメニューを増やし、追加注文を促す環境を整えましょう。さらに、セールストークを工夫し、顧客のニーズに合った提案ができると満足度を高めつつ単価向上を図れます。
スタッフの配置を見直す
各スタッフの能力を考慮し、適材適所の配置により、店舗のサービス向上を図りましょう。たとえば、ピークタイムには経験豊富なスタッフを配置し、スピーディーなサービスを提供します。
また、ピークタイム以外は少人数で営業できる環境を整えることで、人件費の削減につながります。勤務時間に融通のきくアルバイトやパートスタッフも活用しつつ、効率よいシフトを組んでください。
まとめ|飲食店の売上を把握して利益を増やそう
飲食店経営において、自店の条件に応じた売上平均の把握が重要です。基本的な計算方法を知ることにより、規模や業態に関わらず適切に経営判断できます。また、売上管理には損益分岐点や営業利益率の理解が欠かせません。これらの指標を活用し、店舗の収益性を最大化しましょう。
売上アップを図るためには、モバイルオーダーの導入や集客施策、席の回転率の向上など、多角的なアプローチを要します。この中でとくに注目すべきは「Qder」のような多機能型システムです。「Qder」はAIによる予約管理や注文管理、オンライン決済までを一貫してサポートし、無料で利用可能です。導入コストが0円でありながら、CRM機能やSNS連携による集客支援を実現します。店舗運営を効率化しながら、売上アップの施策を打ち出せる「Qder」の導入をぜひご検討ください。