コラム
モバイルオーダーを導入している企業一覧|事例やシステムの選び方を解説

モバイルオーダーは近年、飲食業界を中心に急速に普及しています。非接触で注文や決済ができることから、感染症対策や混雑の緩和に有効とされ、注目を集めるようになりました。さらに、人手不足の解消や業務効率化といった課題にも対応できる手段として、期待されています。
本記事では、モバイルオーダーを導入している企業の事例や、導入時に押さえておきたいシステムの選び方を解説します。自社の導入検討に向けた参考として、お役立てください。
モバイルオーダー導入企業が増えている理由
モバイルオーダーが広がっている背景には、下記のような要因があります。
- 非接触ニーズ・DX化の加速
- 人手不足への対応と業務の効率化
- 顧客満足度とリピート率の向上
それぞれのポイントを詳しく解説します。
非接触ニーズ・DX化の加速
モバイルオーダーが広まった背景には、「なるべく人と接触せずに買い物をしたい」という声の高まりがあります。とくに新型コロナウイルスの流行以降、店員との会話や現金の受け渡しを避けたい方が増えました。
モバイルオーダーなら、スマホで商品を選び、そのまま決済まで済ませられるため、接触を最小限に抑えられます。たとえばスターバックスでは、アプリやLINEから事前注文することで、店頭で並ばずに商品を受け取れるようになりました。
このように、モバイルオーダーは「安心して使える」「便利で効率的」といった点から、多くの企業が注目しています。
人手不足への対応と業務の効率化
人手が足りない店舗でも、モバイルオーダーを活用すればスムーズに営業できます。注文受付や会計処理などの業務をスマホで自動化することで、少ないスタッフでも店舗運営が可能です。
とくにホールスタッフの負担軽減に大きく貢献し、接客に集中できる環境を整えられます。省人化を進めつつも、サービスの質を維持できるのが大きな利点です。
さらに、注文内容がリアルタイムでキッチンに共有されるため、調理から提供までのオペレーションもスムーズになります。結果、業務全体の効率が向上し、従業員の働きやすさや定着率アップにもつながるでしょう。
顧客満足度とリピート率の向上
モバイルオーダーは、好きなタイミングで注文できる利便性や、待ち時間の短さが利用者から高く評価されています。
株式会社ぐるなびが2022年に実施した調査では、モバイルオーダーの利用経験者の約9割が「満足」または「やや満足」と回答していました。さらに、そのうち9割以上が「今後も利用したい」と答えています。
こうした高い満足度は、「また利用したい」という気持ちにつながります。注文履歴などのデータを活用すれば、よく注文されるメニューに合わせたおすすめ表示が可能です。個別クーポンの配信など、来店を促すマーケティングにも活用できるでしょう。
参考:株式会社ぐるなび|モバイルオーダーの利用実態調査2022
【業種別】モバイルオーダーを導入している企業
モバイルオーダーは飲食業界を中心に急速に広まり、現在ではアパレル・小売・サービス業にも拡大しています。ここでは、業種ごとに代表的な導入事例を紹介します。
- ファストフード店|マクドナルド・吉野家
- カフェ・居酒屋|スターバックス・辻利・博多劇場
- ファミリーレストラン|ガスト・バーミヤン
- アパレル・日用品業界|ユニクロ・無印良品
- 小売・サービス業|ニトリ・くら寿司
詳しく見ていきましょう。
ファストフード店|マクドナルド・吉野家
ファストフード業態は「早くて安い」が求められるため、モバイルオーダーと相性のよい分野です。とくにマクドナルドや吉野家では、ピーク時の混雑やスタッフ負担を軽減する手段として早期から導入が進んでいます。
具体的な取り組み内容は、下記のとおりです。
企業名 | 導入の取り組み内容 | おもな効果 |
マクドナルド |
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吉野家 |
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参考:マクドナルド
これらのモバイルオーダーの仕組みによって、ユーザーの利便性はもちろん、店舗側のオペレーション負担も軽減されています。全体のサービス品質向上につながっている事例です。
カフェ・居酒屋|スターバックス・辻利・博多劇場
カフェや居酒屋では、注文の回数が多く、回転率の高さが求められます。スターバックスでは、アプリを使った事前注文・決済を導入し、注文から受取までの流れを効率化しました。
さらに、観光地にある「辻利」や、多頻度注文が発生する居酒屋チェーン「博多劇場」でも、モバイルオーダーの導入が進められています。
具体的な取り組み内容は、下記のとおりです。
企業名 | 導入の取り組み内容 | おもな効果 |
スターバックス |
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辻利 | スマホ注文によるキャッシュレス運用導入 |
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博多劇場 | テーブルごとのQRコード注文を採用 |
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参考:スターバックス
店内オペレーションの効率化だけでなく、顧客満足度の向上にもつながっています。人手不足が課題となる中で、現場の負担を減らしつつサービスの質を維持できる点が大きなメリットです。
ファミリーレストラン|ガスト・バーミヤン
ファミリーレストランでは、家族連れや高齢者など幅広い客層に対応する必要があります。そのため、モバイルオーダーを活用した、柔軟な運営が進められています。
すかいらーくグループでは、店内でのタブレット注文とテイクアウトの事前予約を導入。これによって、スタッフ業務の効率化と顧客利便性の向上を同時に実現しています。
具体的な取り組み内容は、下記のとおりです。
企業名 | 導入の取り組み内容 | おもな効果 |
ガスト | タブレット注文・アプリでのテイクアウト予約対応 |
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バーミヤン | ガストと同様のアプリ・運用を採用 |
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参考:すかいらーくグループ
ファミレス業態におけるモバイルオーダーは、省人化とサービス品質の維持に効果的です。今後、さらに多店舗展開へ広がる可能性があります。
アパレル・日用品業界|ユニクロ・無印良品
アパレルや日用品の販売では、ECとリアル店舗をつなぐ「O2O(Online to Offline)」の観点からモバイルオーダーの導入が進んでいます。ユニクロや無印良品では、ユーザー体験の向上と業務効率化の両方を実現しています。
具体的な取り組み内容は、下記のとおりです。
企業名 | 導入の取り組み内容 | おもな効果 |
ユニクロ | アプリで商品を注文・店舗受取や自宅配送を選択可能 | 在庫確認・来店目的の明確化 |
無印良品 | 「MUJI passport」で商品検索・注文・一部店舗での決済が可能 |
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参考:ユニクロ
モバイルオーダーは接客や販売のあり方を変えるだけでなく、DX推進の一端を担う重要な施策として位置づけられています。
小売・サービス業|ニトリ・くら寿司
小売・サービス業においても、店舗での「待たない」体験を提供する手段として、モバイルオーダーが活躍しています。ニトリでは注文後の店舗受取や配送指定がアプリで完結し、くら寿司では席ごとの注文をQRコードで対応。それぞれの業態に最適化された導入が進んでいます。
具体的な取り組み内容は、下記のとおりです。
企業名 | 導入の取り組み内容 | おもな効果 |
ニトリ | アプリで注文後に店頭受取または配送を選択 |
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くら寿司 | QRコードで席ごとのモバイルオーダーに対応 |
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参考:PRITIMES
これらの事例から、モバイルオーダーは飲食にとどまらず、幅広い業界で業務改善と顧客体験向上に貢献していることが分かります。
企業がモバイルオーダーを導入するメリット
モバイルオーダーは単なる注文手段にとどまらず、企業にとって多くの経営的メリットをもたらすツールとして注目されています。具体的には、下記のようなメリットが期待できます。
- 注文業務の負担を軽減する
- 紙メニューや人件費のコスト削減につながる
- 顧客データをマーケティングに活用できる
- 混雑緩和と待ち時間の短縮で回転率を上げられる
それぞれのポイントについて、具体的に見ていきましょう。
注文業務の負担を軽減する
モバイルオーダーを導入すれば、スタッフが注文を聞きに行く必要がなくなります。モバイルオーダーでは、お客様が注文から決済まで済ませられるため、接客にかかる手間を大幅に削減できます。
とくに混雑しやすい飲食店では、注文対応が業務の負担になりやすいです。モバイルオーダーを活用すれば、聞き間違いや伝達ミスといった人的トラブルを防げるので、結果として接客の安定にもつながります。
紙メニューや人件費のコスト削減につながる
紙のメニュー表は、下記のように、手間とコストがかかります。
- 印刷費用
- 差し替え作業
- 店舗への配布
モバイルオーダーなら、これらの手間を省けるだけでなく、価格変更や新メニューの追加もアプリ上で即時反映が可能です。更新のたびに印刷し直す必要がないため、業務効率とコストの両方が改善されます。
注文や決済の対応が不要になることで、レジ対応の人員も最小限で済みます。人件費の見直しや省人化も実現できるため、多店舗展開を行う企業では大きなメリットとなるでしょう。
顧客データをマーケティングに活用できる
モバイルオーダーでは、下記のように顧客データを自動的に蓄積できます。
- 注文内容
- 来店頻度
- 決済情報
これらのデータは、マーケティングや販促活動に役立ちます。「どの時間帯に何が売れているか」「リピーターはどのメニューを好むか」などを分析すれば、ターゲットを絞ったキャンペーンやクーポン配信を実現できるでしょう。
混雑緩和と待ち時間の短縮で回転率を上げられる
モバイルオーダーでは注文を事前に完了できるため、店舗での待ち時間やレジ前の行列は大幅に減少します。
その結果、顧客の滞在時間が短くなり、テーブルや店舗スペースの回転率が向上します。とくにランチタイムなど、混雑が激しい時間帯の売上機会損失を防ぐ効果は大きいといえるでしょう。
企業がモバイルオーダー導入するデメリット・注意点
モバイルオーダーは、業務効率化や人件費削減など、多くのメリットが期待できる手段です。しかし、すべての業種・業態に適しているとは限らず、導入にあたっては注意点もあります。
具体的なデメリットや注意点は、下記のとおりです。
- 非スマホ層や高齢者への配慮
- 初期費用と月額費用のバランス
- システム障害や通信トラブルへの備え
- メニュー構成による効果の違い
それぞれ見ていきましょう。
非スマホ層や高齢者への配慮
モバイルオーダーはスマホ操作が前提のため、高齢者やデジタル機器に不慣れな層には使いにくい面があります。とくに現金派の顧客や、紙メニューに慣れた利用者への対応も必要です。
来店者の年齢層・ニーズに応じて、従来の注文方法を併用するなど、柔軟な運用が求められるでしょう。
初期費用と月額費用のバランス
モバイルオーダーの導入には、数万円以上の初期費用や月額料金がかかるのが一般的です。売上規模が小さい店舗では、コストに見合った効果が得られない可能性もあります。
導入前に、費用対効果を具体的に試算し、自店舗にとって本当に必要かを見極めることが大切です。
システム障害や通信トラブルへの備え
モバイルオーダーは、インターネット環境に依存しています。そのため、通信障害やシステムトラブルが起きた場合は、注文受付や会計が停止するリスクがあります。
とくにピーク時のトラブルは顧客対応に大きな影響を与えるでしょう。紙メニューの併用や、緊急対応マニュアルの整備が重要になります。
メニュー構成による効果の違い
モバイルオーダーの効果は、業態や提供メニューによって異なります。細かいカスタマイズが多い料理や高価格帯の接客重視型店舗では、導入が逆効果になることも。
自店舗のオペレーションや顧客体験と相性がよいか、事前に検討してから導入を進めるべきです。
企業がモバイルオーダーを導入する流れ
モバイルオーダーの導入は、すぐに成果が出るわけではありません。運用効果を最大化するには、目的を明確にし、段階的に準備を進めることが重要です。
モバイルオーダーを導入する際の具体的な流れは、下記のとおりです。
- 導入の目的を明確にする
- システムを選び、資料を取り寄せて検討する
- 初期設定・メニュー登録・テスト運用を進める
- 本格導入を行い、利用を広げる取り組みもあわせて行う
詳しく見ていきましょう。
導入の目的を明確にする
まずは、下記のような店舗の課題に合わせて、モバイルオーダーを導入する目的を明確にします。
- 人手不足の解消
- 業務効率の向上
- 顧客満足度アップ
- 回転率の改善
目的によって、必要な機能やシステムの種類も異なります。導入後にギャップが生じないように、現場の声をもとに、誰のための導入かを整理しましょう。
システムを選び、資料を取り寄せて検討する
目的が定まったら、自社に合うシステムを選定します。おもなタイプは、下記のとおりです。
- テイクアウト向け:受取時間指定・事前決済
- 店内向け:カスタマイズ注文・多言語対応
- その他:POS連携・在庫管理・自動集計機能など
自社の運営スタイルに照らして、優先度の高い機能をリストアップしておきましょう。
初期設定・メニュー登録・テスト運用を進める
システムを導入したら、下記のように初期設定を行います。
- 店舗情報の登録
- 決済方法の設定
- メニュー登録
とくに、写真や価格、説明文などのメニューの表示内容は注文率に影響します。見やすく整えることで、注文率アップにつながるでしょう。
また、スタッフ向けのテスト注文や操作確認も必須です。QRコードの設置位置や、端末の動作チェックも忘れずに行いましょう。
本格導入を行い、利用を広げる取り組みもあわせて行う
準備が整ったら、モバイルオーダーを本格的に導入する段階です。導入初期は、下記のような工夫で利用を促しましょう。
- 来店者への説明
- 店頭ポップ
- SNS
- レジでの声がけ
さらに、システムの分析機能を使って注文データを可視化し、結果をメニューの見直しや販促施策に反映させましょう。導入後も、スタッフの声を取り入れながら運用体制を定期的に見直すことが、長期的な成功につながります。
モバイルオーダーシステムを選ぶ際の比較ポイント
モバイルオーダーは選択肢が豊富な分、どのシステムが自社に合うのか悩むケースも多く見られます。導入後の失敗を避けるためにも、下記4つの比較ポイントを意識して検討しましょう。
- 必要な機能の有無
- UI・UXの使いやすさやデザイン性
- 初期費用・月額料金などのコスト面
- サポート体制と導入までのスピード
それぞれのポイントを順に解説します。
必要な機能の有無
モバイルオーダーシステムに求められる機能は、店舗の業態や運用目的によって異なります。具体的には、下記のとおりです。
- テイクアウト重視:受取時間指定・事前決済
- 店内注文重視:カスタマイズ注文・多言語対応
ほかにも、POSレジ連携や在庫管理、自動集計など、業務効率化に貢献する機能も要チェックです。導入前に、自店舗で必要な機能を洗い出しましょう。
UI・UXの使いやすさやデザイン性
スマホ注文が前提のモバイルオーダーでは、注文画面の見やすさや操作のしやすさが利用継続に大きく関わります。ボタン配置や画像の見せ方、文字サイズなども重要です。
さらに、スタッフが使う管理画面のUIも確認をしましょう。操作に慣れにくいシステムでは、現場が混乱しかねません。導入前には、デモ画面や無料トライアルの活用をおすすめします。
初期費用・月額料金などのコスト面
費用面では、下記の項目に注意が必要です。
- 初期費用:導入設定・端末など
- 月額料金:システム利用料
- 決済手数料
- 周辺機器:プリンターやタブレットなど
費用面のみで選ばず、必要な機能とのバランスを見極めましょう。
サポート体制と導入までのスピード
トラブル時の対応力は、導入後の満足度につながります。メールや電話対応のほか、現地訪問や操作サポートの有無も確認しましょう。
また、契約から導入までのスピード感も重要です。短期間で運用を開始したい企業は、導入スケジュールも比較材料に入れましょう。
モバイルオーダーの普及率と今後の市場動向
ここでは、下記3つの観点から、モバイルオーダーの現状と今後の市場動向について詳しく解説します。
- 導入率・利用率の推移
- 中小店舗への浸透と成長の可能性
- 企業のDX戦略におけるモバイルオーダーの重要性
導入を検討されている方は、参考にしてください。
導入率・利用率の推移
モバイルオーダーの利用は確実に拡大しています。株式会社リクルートが2024年5月に実施した調査によると、利用経験のある方の割合は次のとおりです。
- テーブルオーダー(席にある端末で注文):78.9%
- セルフオーダー(QRコードやスマホから注文):57.1%
- テイクアウト時の事前注文(アプリやWebで注文):48.8%
とくにスマホ注文は、数年前と比べて大きく伸びており、今後さらに多くの店舗で導入が進むと考えられます。
中小店舗への浸透と成長の可能性
モバイルオーダーは、導入コストや人員が限られる中小店舗にも広がっています。たとえば「Qder(キューダー)」のように、初期費用・月額費用が完全無料のサービスは、多くの小規模事業者に選ばれています。
決済端末やPOSレジとの連携にも対応しており、飲食店運営に必要な機能を網羅しているのが特徴です。専門的なIT知識がなくても扱いやすく、モバイルオーダーを初めて導入する店舗にも適しています。
こうしたツールの普及によって、業務効率化や人手不足の解消といった課題にも対応しやすくなります。柔軟な導入形態に対応できる点も、中小店舗での導入拡大を後押しする要因といえるでしょう。
企業のDX戦略におけるモバイルオーダーの重要性
モバイルオーダーは、店舗業務の効率化だけでなく、企業全体のDXを進めるうえでも重要な役割を担います。お客様自身のスマホで注文から会計まで完了する仕組みによって、スタッフの業務はデジタルデータとして管理が可能です。
結果として、店舗ごとの売上や注文傾向といったデータも本部がリアルタイムで把握できます。さらに、こうしたデータの活用で、下記のような業務改善にもつながるでしょう。
- 人員配置の最適化
- 在庫管理の精度向上
- 販売戦略の改善
モバイルオーダーは現場の効率化に貢献するだけでなく、経営判断の高度化を支える仕組みとしても価値があります。企業のDXを支える基盤として、今後ますます注目されていくでしょう。
まとめ:成功事例を参考に、モバイルオーダーの導入を進めよう
モバイルオーダーは、業務効率化や売上向上、顧客満足度の改善など多くの効果が期待できるツールです。実際に、マクドナルドやスターバックスなどの大手企業では、モバイルオーダーの活用がDX推進にもつながっています。
近年では、中小企業でも導入しやすいシステムが増えており、コストを抑えつつ実用的な運用が可能です。「Qder(キューダー)」は、初期費用・月額費用が完全無料で利用できます。モバイルオーダーをはじめ、飲食店の現場ニーズに寄り添った設計が特徴です。
成功事例や自社の課題を参考にしながら、自店舗に合ったモバイルオーダーの導入を検討しましょう。